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トイレットペーパーまで自腹の自衛隊。予算がなくて「トイレを封鎖」する基地も

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防衛費って全てが鉄砲買うのに使われる訳ではなく、武器に使われるのが3割程度で、7割が自衛隊維持に使われるって事を知らない・知る気がない「自衛隊反対論者」が多過ぎてアカンわ・・・


 防衛大綱の策定年度にあたる今年、自民党は防衛予算を対GDP比の2%まで引き上げる提言を上げています。防衛予算が2倍になることは歓迎です。これまで部隊が行動するための必要経費すら出せず、削りに削られてきた自衛隊の内部予算。すでに様々なところにしわ寄せが来ています。あまりにも予算が足りないために、他の省庁では見られないような涙ぐましい節約や、本来なら必要経費で賄うものを「隊員から集めたお金で買っている」という情けない状態が一部の部署でさらにエスカレートしているのです。


◆トイレットペーパーを買う予算もない

 そもそも自衛隊の予算は無駄(とされるもの)を極限まで切り詰めています。カツカツの状況で「GDP比1%」の枠内に無理やり予算を収めてきたのです。でも、考えてみてください。自衛隊のやることは領海領空警備、ミサイル防衛や災害対応にしても、そもそも計画など立てられないものばかりでしょう? いつ北朝鮮のミサイルが飛んで来るかなんて予想できないのに対処するのです。周辺諸国の脅威が増え、領海近くにこんなにも軍艦や爆撃機や潜水艦が頻繁にやって来て、ミサイルも頻繁に飛んで来る計画など立てられません。それでも予算内で対処しようとするため、当然、しわ寄せが来ます。

 その目に見える形が自腹構造です。自衛隊は組織として十分にものが買えず、修理やメンテナンスにも費用が確保できなくなります。結果として困るのは現場の隊員たちなので、彼らの中でお金を出し合って買えるものは購入しているというのが実情です。

 だからトイレにこんな貼り紙が貼られたりします。

「トイレットペーパーはすべて私物購入しています。」

 自衛隊の置かれている現状を理解するのに些末ですが一番象徴的なのがこの「トイレットペーパー自腹問題」です。以前にもこの問題を取り上げたことがありますが、そのやり方がさらに深刻化しているようです。

 もちろん自衛隊にだってトイレットペーパーを買う厚生費と呼ばれる予算はあります。しかし、これは概ね「一回あたり45cm」として隊員の数や平均的なトイレの回数を積み上げて計算された予算なので、足りなくなっても基本的に補充はされません。それでは隊員が困るので、仕方なく自分で外から買ってくるわけです。基地内で1ロール100円の値段で売っているのを見かけたこともあります。高いじゃないかと突っ込むのは本論とは違うので我慢したいと思いますが、それもトイレットペーパー自腹が常態化しているから起こった現象なのです。

◆トイレを封鎖、困ったらコンビニに駆け込む

 さらに、自腹もまずいと考えた基地側の次の手がなんと「トイレ封鎖作戦」でした。

 ああ、その手がありましたか!と話を聞いてさらに笑っちゃいましたが、トイレを封鎖すればトイレットペーパーがなくても平気です。考えましたね。でもありえないです。

 さすがに基地名は出しませんが、トイレットペーパー節約のためにトイレの封鎖を行っている部隊を見つけました。ペーパーがなくなるとトイレを使えないように封鎖するのです。たしかにその手を使えば隊員がトイレットペーパーを自腹で買わなくても済み、予算も抑えられるでしょうが、閉め出された隊員はどこか他所をあたるしかありません。ペーパーのある閉鎖されてないトイレを探してさまよい、それでもどうにもならなければ、外のコンビニに駆け込むのです。なんていうか、「ああ!無情」な気分です。そこまでして自衛隊に節約を強いる国はどうなっているのでしょうか?

◆予算がないことが色々な弊害を生む

「今年自衛隊に入った息子が不憫なので、定期的にトイレットペーパーを送っています」と話してくれた自衛官のお母さんもいました。トイレを我慢すると体にも支障が出るのではないかと心配しているようです。

 トイレットペーパー自腹が常態化している部隊では、こんな珍現象に発展しているのです。こんな軽微な予算ですら出せない。そのことから見えてくるさらに重大な予算不足、物資の欠乏という構造的欠陥を考えてもらいたいと思います。

 予算が尽きれば消耗品は補充できず、予定外の修理・修繕は費用がないため仕方なくほとんどがそのまま放置されます。大事なことなので繰り返しますが、予定にない修理・修繕の費用はなく、消耗品の補充はできないのです。これは非常に深刻な問題です。

 その上、さらにお金のかかる装備品の消耗品補充や修理の状況は外からはなかなか確認できません。予算がないからと修理せず、メンテナンスを怠って騙し騙し使われているようなものが、イザという時に本当に役に立つのでしょうか。トイレットペーパー問題は些細な入口に過ぎません。その奥に「お金がないから補充できず修繕できないもの」が山のように積み重なっているのです。

 さすがにこの問題はそろそろ認知されるところとなり、国会議員さんの中にも対処したいという人が出てきました。でも、無い袖は振れませんよね。防衛省を責めても仕方ないのです。防衛省がこんなに貧乏なのは国会の予算が全く足らないからです。国の省庁の予算配分は国会が決めるものであり、防衛省が決めるものではありません。責任は防衛省ではなく国会にあります。

◆黙って耐えてきた自衛隊

 トイレットペーパー自腹の話をすると、自衛隊の現役隊員やOBから「そんな恥を言わないでくれ」「自衛隊をバカにするな」とお叱りを受けるのですが、自衛隊員にこんなしみったれたことをさせる防衛予算の仕組みや体制を問題にしているのです。財務省経産省内閣府の建物内で自腹のトイレットペーパーを見たことがありますか? 自衛隊だけにこんなことを強いる防衛予算を続けてきたことこそが、自衛隊員への侮辱だと言えるでしょう。その事実を世論に訴えない限り、現状が改善されることはありません。

 今年の防衛大綱で自民党がやっとGDP比2%、従来の2倍の防衛予算にする提言を出しました。しかも小野寺防衛大臣は「必要なものの積み上げが基本だ。GDP機械的に結びつけるのは適切ではない」と2%にこだわらず、必要な予算を積み上げるべきだと言っています。その通りです。遅きに失した感もありますが、大きな一歩だと思います。これまで声も上げず虐げられても黙って耐えてきた自衛隊員に対し、国会がきちんと敬意を表してくれるのか、しっかり見ていきましょう。防衛予算の拡充は喫緊の課題です。国民の一人として、隊員が誇りを持って働ける揺るぎない自衛隊であってほしいと心から願っています。<文/小笠原理恵>
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