<自転車活用>国の責務…脱クルマへ「推進法」成立
道路を走る上でのインフラ整備
チャリンカス排除の道交法の周知の徹底
これだけでも、かなり良くなる!
社会的な交通手段としての自転車の役割拡大に向け、国に計画作成を義務づける「自転車活用推進法」が今国会で制定された。環境に優しく災害時にも動ける利点を挙げ、安全に配慮しながら活用を進めて車依存を減らすことが、国民の健康や交通混雑の緩和につながると明記した。専門家は「交通の転換を図る一歩」と評価する。【北村和巳】
◇「交通の転換図る一歩」
国として初めて自転車政策全般の基本的な方向性を定めた。超党派の議員連盟の提言を基にした議員立法。9日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。公布から6カ月以内に施行される。
法は自転車の活用推進を国や自治体の責務とし、目標や制度・財政上の必要措置を盛り込んだ「自転車活用推進計画」を定めるよう政府に義務づけた。都道府県や市区町村にも計画作成の努力義務を課し、公共交通機関や住民の協力も求めた。
重点施策として14項目を列挙。取り組みを進めるため、国土交通相を本部長として官房長官や厚生労働相ら関係閣僚でつくる自転車活用推進本部を国交省に設けるとした。
さらに、関係団体がイベントを行ってきた5月5日を「自転車の日」とし国民に広く理解を呼びかけると定めた。自転車の交通ルール違反への対応や自転車事故に伴う賠償の制度化について検討することも政府に求めた。
自転車に限定した法律はこれまで安全利用促進と駐輪対策を定めた法や自転車道整備法があるが、今回は利用環境の改善を総合的に進める内容となった。
自転車交通を研究する三井住友トラスト基礎研究所の古倉宗治研究理事は「国に自転車政策への関わりを義務づけたのは大きい。従来は、やるなら地方の責任でというスタンスがあった。自治体に対する努力義務規定は全国レベルで自転車への意識が高まるきっかけになる」と指摘する。
NPO法人自転車活用推進研究会の小林成基理事長は「車中心主義を見直し、自転車を主要交通手段と位置づける内容。理念をどう具体化するかが大切」と話す。
◇自治体の施策後押し
自転車を公共的な交通に位置づけまちづくりに取り組む動きは近年、自治体レベルで先行する。自転車政策に詳しい山中英生・徳島大教授は「後押しする法律ができ、自治体がより政策を進めやすくなる」と分析する。
宇都宮市、さいたま市、金沢市、京都市、堺市、宮崎市など、自転車利用者の多い都市を中心に総合的な活用計画が作られてきた。環境・健康面からの利用促進▽走行空間整備▽ルール徹底▽観光利用--が主な内容だ。
ただ、こうした自治体は少数派。山中教授は法の理念実現には、住民に最も身近な市区町村のやる気が重要と指摘した上で「問題を抱えていたり観光活用を考えていたりする自治体は少なくない。法制定で先行事例の蓄積も進み、参考にできるだろう」と語る。市区町村の取り組みには費用面や住民合意などの課題があるが「国交省も支援しやすくなるのでは」と期待する。
今後、国が作る計画の内容も大きなポイント。古倉研究理事は「『自転車優先』を明確にする必要がある」と話す。
…………………………
◇自転車活用推進法が掲げた主な重点施策
・自転車レーンなどの整備
・(走行空間確保のため)パーキングメーターの見直し
・シェアサイクル施設の整備
・安全性の高い自転車の供給
・情報通信技術による自転車管理
・交通安全の教育・啓発
・災害時の有効活用
・自転車を使った観光客誘致支援
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161215-00000113-mai-soci