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マツダ 絶好調の理由 ブランド戦略徹底で過去と決別

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そりゃ、マツダトヨタにガチンコ勝負挑んでも話しにならんわな
(まぁ、それで一度倒産しかけたしw)

そうなると、小粒でも光る物がある商品を売るしかないわな
昔はホンダがしてたのに、今じゃトヨタと変わらんもんなぁ~ 


 三菱自動車の燃費不正問題で揺れる自動車業界でマツダが好調だ。2016年3月期の営業利益は2268億円(前期比12%増)と過去最高を達成。年明けから続く円高の影響で17年3月期の営業利益は前期比25%減の1700億円と5期ぶりの減益を見込むが、08年のリーマン・ショックで打撃を受け、経営危機もささやかれたかつての姿はない。16年の世界販売台数は153万4000台(前期比10%増)と過去最高だ。これまでメルセデス・ベンツBMWなど欧州系メーカーが得意としてきたブランド戦略を徹底してきたことがマツダ躍進の原動力になっている。【永井大介

変化のきっかけは09年「将来への不安大きく」

 かつてのマツダは「技術やデザインに定評はあるが、明確なブランドイメージがなかった」(大手自動車メーカー関係者)。このため、中古車市場などで値崩れしやすく、それが新車の値引きにつながるなど、ブランドイメージ悪化の負の連鎖を招いていた。

 マツダが変わるきっかけになったのは、リーマン・ショックで自動車メーカー各社が打撃を受けた09年だった。マツダも同年3月期に最終赤字に転落し、その後4期連続の赤字となった。通常、投資を抑えるなど経営は守りに入る局面だが、マツダは攻めに出た。06年から進めていた環境と走行性能を高めるスカイアクティブ技術の開発を継続し、デザインの抜本的な変革も検討。「今、マツダにしかできない車作りをあきらめ、中途半端に生き残っても会社は将来、必ずダメになる」。当時の経営陣には「現在」よりも「将来」への不安が大きかった。

 09年4月にはデザイナーであり、商品企画やマーケティングの経験もある前田育男氏(現常務)がデザイン本部長に就任する。風や水など自然界の流れをテーマにしたデザインから、商品戦略のテーマでもある「走る歓(よろこ)び」を体現するデザインにかじを切った。

ブランドの確立で他社と差別化

 「マツダの世界シェアは約2%。でも、100人のうちの2人が『絶対にマツダでなければ嫌だ』と思う車を作り続れば、世の中で必要とされる会社であり続けることができると考えた」と前田氏は振り返る。シェア拡大には価格を安くするなど、より多くの人の共感を得る戦略が必要だ。だが、他社よりも規模が小さなマツダがコスト競争に巻き込まれれば、経営体力の差でいずれ淘汰(とうた)される。そこでブランドを確立することでターゲットを絞り込み、シェア競争を続ける他社とは差別化を図ることにした。

 「熱すぎて面倒くさいぐらい車好きが集まった会社がマツダ。だからこそ、車好きが喜ぶ車を作るべきだ」と考えた前田氏。本部長就任後、過去のマツダ車のデザインを徹底的に調べ上げた。その結果、車に「動き」を感じさせるデザインが無意識のうちに受け継がれてきたことが見えてきた。

10年、20年…と続くマツダデザインの伝統を

 だが、マツダデザインの「DNA」を再認識しただけではこれまでと何も変わらない。「なぜ『動き』をデザインに取り入れたのかといった哲学に踏み込まないと、本部長が代わればテーマも変わり、いつまでも伝統やブランドにはならない」

 来る日も来る日もマツダデザインの本質は何かを求め続けた前田氏は、1年間かけて「魂動(こどう)」のデザイン概念にたどり着く。「車は単なる移動の道具にするのではなく、愛される相棒であってほしい。人間が愛情を注ぐ対象には命を注ぎ込みたい。冷たい金属に命を吹き込むためには、動きを感じさせるデザインである必要があった」

モデルはサバンナを駆け抜けるチータ

 概念が固まると、実際にデザインに落とし込む作業にとりかかった。命を吹き込むために最も美しい生き物の動きを取り入れたい、とさまざまな動物の動きを研究した。その結果、採用したのは時速100キロ以上でサバンナを駆け抜けるチーターだった。「チーターは自分が生きるために獲物を追う。生死をかけた動きは最大の集中力を必要とし、瞬発的な力、スピード感、凜(りん)とした緊張感、洗練された美しさにある種の色気も感じた」(前田氏)。

 獲物を追う時に手足が激しく躍動するが頭はほとんど動かないチーターの動きは、タイヤ周りは激しく動きながらドライバーの視点と車のフロントマスクの向く方向が一致する車を目指すマツダ技術陣の「人馬一体」の考え方にもつながった。

 また、同時に風景との調和にもこだわった。日本国内、どんな場所にもある車が景観を壊すデザインではあってはならないとの思いからだ。同時に日本メーカーとして日本人の美意識の底流にある艶(あで)やかで凜とした雰囲気の車を目指した。

 だが、前田氏の頭の中では明確なイメージも、ほかの人には伝わりづらい。社内だけでなく、デザイン本部でも「以前のテーマでもいい」との雰囲気もあった。しかし、2010年、「魂動」を具現化したコンセプトカー「靭(SHINARI)」が発表されると社内の雰囲気は一変。「動・凜・艶」を表現した車のイメージが浸透し始めた。さらに、前田氏らによる説明会を実施することで社員全員の理解を深めていった。「今ではデザイン本部の若手も私と同じように話すことができる」と前田氏は笑う。

マーケットに合わせるのではなくプロとして納得できる車

 こうしてできあがった「魂動」コンセプトの車が初めて市場に投入されたのは12年2月。スポーツタイプ多目的車(SUV)「CX−5」にはスカイアクティブも初採用され、マツダが今後目指していく車作りの方向性が明確に打ち出された。その後、15年発売のロードスターまで全6車種すべてに魂動デザインを導入した。

 6車種に共通するのは、ボディーを見ただけで「骨格」を意識する安定感あるデザインだ。動物が獲物を狙う際の躍動感を表現するため、骨格を強調した上で、肉感や面の抑揚などを造形で表現した。さらに大型セダンのアテンザは体を伸ばしきって疾走する姿を参考にし、小型のデミオは獲物を見つけて飛びかかる瞬間を描くなど、モチーフは同じチーターでも、車種によって切り取る瞬間は異なる。

 だが、ブランドを一つに束ねれば、ターゲットにする「100人のうち2人」にデザインを気に入られなければ、まったく売れなくなる恐れもある。大きなかけでもあったが、前田氏の信念は揺るがない。「マーケットに合わせた車作りをすれば、私が『良い』とは思わない、いろいろな意見も取り込んで最大公約数的な車にしなければいけない。それでは私が考える100%を出し切ったことにならない。むしろプロ集団がとことん突き詰めて作った車の方がユーザーには響くはずだ」

 とはいえ、ユーザーの反応を無視しているわけではない。マツダはデザイナーとユーザーが直接接する機会は以前よりも増やすことで、「車好きのユーザー」のための車作りをさらに深化させている。ブランド構築は業績にもつながり12年3月期に2兆331億円だった売上高は16年3月期に3兆4066億円に拡大した。

ブランドの統一は店舗から名刺まで

 さらにブランドの統一は車両のデザインだけでなく、販売店やロゴ、名刺など消費者につながる全てに拡大した。マツダは現在、2018年度ごろ投入予定の次世代車の開発を進めている。前田氏は「魂動」のテーマはそのままに、さらなる進化を目指す考えだ。「本質は維持しながら、常に新しさを求めていかないと伝統は古典となり過去になる。マーケットではなく、自分を信じて絶対に妥協せず、最高の車を作り上げてブランド価値をさらに高めていきたい」

http://mainichi.jp/articles/20160520/k00/00m/020/027000c