アートディレクター佐野研二郎氏(43)が教授を務める多摩美術大(東京都世田谷区)が同氏の盗作疑惑への対応に苦慮している。同大では、模倣を認めたサントリービールのキャンペーン賞品のデザインについて事情を聴く方針を先月中旬に固めているが、これまでコンタクトを取っていない。

 さらに、2日までにインターネット上などで、佐野氏が2013年に発表した同大のポスターでも盗用疑惑が発覚、同大関係者を困惑させている。

 同大によると、使用中止が決まる前には佐野氏から所属する研究室へ連絡があったという。研究室から「心労が多い」という報告を受けたため、先月中旬以降、連絡を見合わせている。同大は、「エンブレムの件が一段落したので、状況を見ながら、連絡を取りたい」としている。

 佐野氏は昨年4月、新設された統合デザイン学科の教授に就任し、不定期で特別講義などを担当。来年4月からは「佐野プロジェクト」と呼ばれる専門科目の授業を担当する予定になっている。同大では現在処分の話は出ていないが、佐野氏から事情を聴いた上で、「理事会で判断することになる」と、今後については不透明な状況となっている。
http://www.nikkansports.com/general/news/1532560.html