編集委員が執筆、紙面には掲載されず
記事は野口裕之編集委員の連載「野口裕之の軍事情勢」の記事として「金正恩氏斬首後の『不統一国家』 度を超す自己主張+激高しやすい民族性+偏狭な民族&共産主義者が入り乱れ...」と題して、2017年5月8日に産経新聞のウェブサイトに掲載され、同時にヤフーにも配信された。紙面(紙媒体)には掲載されていない。
記事では、米国のトランプ政権が北朝鮮の金正恩政権を倒したと仮定した際のシナリオについて論じている。「朝鮮人が国家体制にかかわらず、いかに統治能力を欠く致命的欠陥を持っているかを知ること」が、金正恩政権が倒れた後に成立する可能性がある「『新国家』との付き合い方や間合いの取り方に資する」と、トランプ政権に提言。この「新国家」について
「いずれの国家形態であろうと、度を超した自己主張+激高しやすい民族性+偏狭な民族主義者&共産主義者が入り乱れ=一致団結して建国に邁進するまとまりに欠け、日米はじめ国際社会をあきれさせるだろう」
と予測している。それ以外に、第二次世界大戦で日本が敗戦し、朝鮮半島に米軍が進駐してからの混乱ぶりを説明する中でも
「統治能力欠落+度を超した自己主張+激高しやすい民族性+偏狭な民族主義者&共産主義者が入り乱れ=一致団結して建国に邁進するまとまりに欠けている...など、こと朝鮮人に関し米国の学習能力は高かった」
と、繰り返し表現した。
「特定の民族を侮蔑するような表現」で論評、との指摘
この記事に対してツイッターで寄せられたコメントでは、
「赤裸々に隣国の本質が書かれています」
「ここまでハッキリと本当の事を書くと反日極左に『ヘイトだ!』って言われるよ(笑)」
などと賛同するものがある一方で、
「こんなものはただの飲み屋話レベルのおっさんの与太話」
「不都合な政体を民族性と説明するのは思考停止だろう」
などと批判的なものもある。
また、日本報道検証機構代表で弁護士の楊井人文氏は5月14日、記事には「特定の民族を侮蔑するような表現」で論評が展開されているとヤフーの個人ページで批判を展開した。
こういった指摘が影響したかは不明だが、ヤフーに配信されていた記事は5月17日になって削除された。産経新聞のウェブサイトには掲載されたままなので、ヤフーの判断で削除したとみられる。この件について、ヤフー広報室はJ-CASTニュースの取材に、
「記事の削除理由については控えさせていただいております」
と詳細を明かさなかったが、「一般的な対応」として、
「記事内容に懸念がある場合には各情報提供元にご連絡を差し上げて記事の削除や修正をお願いする場合もございます。Yahoo!ニュースでは媒体社の編集方針を尊重しつつ、各媒体社とコミュニケーションを取らせていただいております」
とも説明している。
産経新聞がウェブサイトで公表している「記者指針」では、「取材、報道、論評にあたっては人種、性別、宗教、国籍、職業などによって差別してはならない」とうたっている。
J-CASTニュース編集部では、記事が(1)「特定の民族を侮蔑するような表現」を含んでいると考えるか(2)「記者指針」に抵触すると考えるか(3)ヤフーが記事を削除したことに納得しているか、などについて産経新聞社広報部に見解を求めたが、
「個別の記事に関することはお答えできません」
とのみ返答した。