俺の意見は聞け!
テメェ等の意見は聞かね~よ!
古典的な左翼思考の奴が「意見の違いを認め対話」ってギャグかよ?
民主政治には限界も 争点見えず議論なし、ではなく、まず声を上げよう
戦争法とも呼ばれた安全保障関連法が成立した昨年、全国に広がった抗議デモの中心にいたのが若者グループ「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さん(24)だ。国会で多数派を握り憲法改正に動く現政権を前に、声を上げ続ける意義とは何か。デモと平和と民主主義について聞いた。
−−記録的な大規模デモをリードした実感は。
「まず言いたいのは『意識の高い若者が民衆を覚醒させた』という話ではないということ。それぞれに違う人生を送っている人々の思いがあり、それがシールズのコールに共振、共鳴して可視化された。でなければ、あそこまで広がらない」
−−背景には個人の言葉を封じる世相がある?
「効率や成果が問われる競争社会のしがらみの中で、言いたいことが言えない人が増えている感じがする。デモに対し『みんな同じことを叫んで気持ち悪い』という批判があるけれど、今の社会もかなり気持ちが悪い。思いを形にする場として、デモはないよりもあった方がいい」
−−声を上げる若者の代表とみられている。半生記「変える」(河出書房新社)も話題だ。
「シールズのスポークスマンの役目をしているだけで、24時間、路上で絶叫してるわけじゃない。今の高校生の流行も知らない。代表でも何でもないし、本を出すのも葛藤がありました」
−−高校3年の時に自主研究で「平和学」を取り上げたと著書にある。
「いわゆる平和学習に違和感があった。みんなで広島や長崎、沖縄を訪れ『戦争はよくない』と同じような感想文を書く。ではなぜ戦争はなくならないのか。憲法9条の大切さも素直に認めないひねくれた生徒でした」
−−平和が単なるお題目になってしまっている?
「戦争が『よく知らないご老人の昔話』になってしまった。戦時中も青春や恋はあっただろうし、それを想像することで戦争の実感が湧く。例えば日本軍が侵攻したフィリピンで生まれ育った僕の祖母は、フィリピンの人を『土人』と蔑称で呼んだりする。善悪は別として、これが戦争のリアルだと思う」
−−平和学の泰斗ガルトゥングに感化されたとか。
「戦争だけじゃなくて貧困や差別などの構造的暴力の根絶を目指す『積極的平和主義』が彼の持論。北九州の中学でいじめに遭い、転校先の沖縄の離島でムラ社会の洗礼を浴びた僕には、とてもリアリティーがあった」
−−一転して高校では民主的な環境に。
「島根の全寮制の高校で、生徒の話し合いで全てが決まる風変わりな学校だった。議論好きも勝手なやつも、ものぐさもいる雑多な雰囲気が面白くて、でも寮生活だから逃げ場がない。トラブルは自分で動かないと解決しない。厳しいし面倒くさい古代アテネ流の民主主義に鍛えられました」
−−個人主義が進む現代の平和に必要なものは。
「バラバラな個人が一緒に生きる知恵が民主主義の価値だとすると、多数決で決断せざるを得ない民主政治との間には常に矛盾がある。最大多数の最大幸福を目指しつつ、全ての人を幸福にはできない政治の限界を踏まえ、どこまで少数者に応答できるかが問われる」
−−デモの役割は。
「集団で行動し、多数派となって主張を通そうとするデモにも、対立者を抑圧しようとする暴力性はある。でも、じゃあ対立はやめて仲良く話し合いましょうとなったとき、論点や争点が見えないまま議論などできるのか。結局はみんなが思考停止して周囲の顔色をうかがうことにならないか。だからシールズは、違いを恐れず声を上げようと呼び掛けているんです」
−−沈黙は罪?
「シールズの活動が注目されたのは、政治に無関心だと思っていた若者がしゃべり始めたら、結構まともなことを言うじゃんという部分だったと感じている。逆に言えば、貧困も差別も格差も黙っていたら解決しない。一人一人が社会を担う主体として身近な問題を可視化する。誰かに任せておいて文句だけ言う姿勢では、政治が大失敗をしても気が付けない」
−−その観点から政治の現状をどうみるか。
「改憲問題で分かるように、現政権は言うこととやることが違うから信用できないと僕は思う。でも世論調査の内閣支持率は高い。暮らしが切羽詰まる中で安定が選択されていると推察はするけれど、具体的な良さを語る声はあまり聞こえない。発信力が弱い野党側も含め、いろんな立場の人々が違いを違いと認めて集まり、対話すること。それが平和と民主主義の出発点だと思っています」
■ことば
SEALDs(シールズ)
憲法解釈を変更し集団的自衛権行使を解禁した現政権に抗議する若者が2015年に創設。「自由と民主主義のための学生緊急行動」の英訳の略称で、特定秘密保護法に反対する学生団体が母体。安全保障関連法の法案審議中は毎週金曜の国会前デモを主催。国家権力に憲法順守を求める立憲主義を軸に、リベラル勢力の結集を訴えた。
■人物略歴
おくだ・あき
1992年北九州市生まれ。実家はキリスト教会で、貧困者支援に取り組む牧師の父を見て育つ。中学でいじめに遭い沖縄・鳩間島に移住。キリスト教系の高校から明治学院大に進み、現在、東京の大学院で政治学を専攻。6月に初の単著「変える」を刊行。共著に「民主主義ってなんだ?」など。
http://mainichi.jp/articles/20160723/ddl/k39/040/502000c