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ネパールへの自衛隊展開は、なぜ遅れたのか 長距離輸送機の調達戦略に問題あり

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確かに、搭載量と航続距離、整備性、コストは重要だよ
でも、戦車も搭載可能なんて航空機を導入したら、サヨク連中が黙っちゃいね~よ!
連中は声だけはデカイし┐(´д`)┌ヤレヤレ 



 4月25日に発生したネパール大地震を受けて、各国は即座に災害援助を行った。それを実現したのは米国製のC-17輸送機であった。大搭載量と長大な航続距離を兼ね備えた長距離輸送機であり、小型飛行場でも離着陸可能である。米英、オーストラリア、カナダはC-17の特性を活かし、災害現場のネパールに直接展開できた。

 しかし、自衛隊の展開は遅れた。これは最大の輸送機であるC-130の性能不足が大きく影響している。日本は輸送機を利用した直接展開できないため、緊急支援もその後の自衛隊派遣も初動は民間機による移動となった。自衛隊輸送機の投入は中継地経由の調整もあり、出発は震災から1週間近く経過してからになった。

 これは、主力輸送機の選択における失策が影響している。日本は新輸送機として完成品のC-17を導入せず、新規開発であるC-2の国産を選んだ。その結果、自衛隊は今なお長距離輸送機を入手できていない。しかもC-2開発はトラブル続きであり、開発期間延長が繰り返されている。

 C-2の開発継続は、今後を展望しても得策ではない。これより先、自衛隊海外派遣は本格化する見通しだが、C-2は完成前段階でも、すでに能力不足である。将来的に海外派遣は増加するため、航空輸送の必要性も増加する。それを考慮すればC-2の開発・量産は止め、中古機であっても能力が高いC-17を買うべきである。

 その理由について、詳細を分析していこう。

 自衛隊は、C-2の国産を選択した結果、長距離空輸能力で不具合を抱えている。長距離輸送機を持たないため、空輸展開によるタイムリーな災害援助、国際貢献、重量物輸送をできない状態にある。

 そして、この長距離輸送能力の不備はいつ解決するか分からない。C-2の開発は遅延しており、いまだに量産機は完成していないためだ。もともと航空機開発には時間がかかるもので、予定も一般的に遅れ気味になる。だがC-2の場合はすでに開発延長を3回も繰り返している。これまで順調でなかった開発が、今後は順調に進むとは考え難い。

 量産機完成以降も、おそらくスムーズには行かない。C-17が日本にとってすぐに使える機体であったこととは異なり、C-2は運用実績がなく、すぐに活用できる状態とはならないためだ。

 2016年度中に引き渡されるとされるC-2量産機も、当座は運用試験用に留まる。部隊引き渡しのあとも、大小問わず、多数の問題点が見つかることは避けられないためだ。しかも少数しか生産しないため、ある程度のトラブルが出尽くすまでに時間がかかる。おそらくは2020年近くまでは安定した運用は望めない。

 これはC-17を導入した場合と比較すると、対照的である。C-2国産を決めた2000年時点でC-17購入を決定していれば、2005年には導入できたのである。また、導入後には早期に運用可能となる。米軍の大量配備以降であり不具合の洗い出しは済んでおり、操縦や整備といったマニュアルも完成しているためだ。

 つまり、C-17を配備していれば、現在の自衛隊ジブチ駐留部隊への航空輸送や、かつてのハイチPKOそして今回のネパール大地震で活用できたのである。

 調達費用でも、C-17のほうが安価に済んだ。C-2には既に4000億円が投入されている(これまでに開発費を2500億円以上使用し、また完成前にもかかわらず、既に8機分で約1500億円分が発注されている)。C-17を1機300億円としても、これまでの支出4000億円でC-17を13機は購入できた計算になる。

 C-17が13機もあれば、海外輸送の所要は問題ない。海外派兵が常態化している英国でも保有するC-17は8機だ。日本の遠距離輸送機としては、不足するものではない。

 利点は多い。なにしろC-17は整備補給体勢が確立されている。部品交換時期の見極めや供給体勢も確立しており、海外でトラブルがあっても米軍に泣きつけるのである。この点でもC-2と相当の差である。

 そして、このC-17導入は後知恵の絵空事ではない。輸送機決定の時期には、C-2開発とC-17導入の間で相当の競争があった。「C-17では自衛隊の要求性能に合致しない」とする意見が勝ったわけだが、政府調達では、要求性能を満たしているかどうかは意味がない。結論に誘導するために要求性能自体が操作されるためである。特に航空機は予算規模が大きいため、政治的な関与の度合は大きくなる。

 では、どうすればいいのだろうか。今後のことを考えれば、日本は今からでもでもC-17を購入するべきである。

 なぜならば、C-2が完成したとしても輸送力が不足するためだ。自衛隊の海外活動は本格・大規模化しつつある。その結果、C-2は完成前の現時点で能力不足になってしまっている。

 C-2開発の決定は2000年である。この時期は、自衛隊の海外派遣は始まったばかりで、中身もPKO程度に過ぎなかった。このため、C-2はその所要に合わせた輸送機として計画されていた。

 しかし、2000年以降に自衛隊の海外派遣は量も質も拡大している。国際貢献としては、インド洋やイラクソマリア沖海賊対処が始まっている。これは従来以上に大規模であり、長期間継続するものであった。他国戦闘部隊への兵站(へいたん)支援や、日本自身が海外基地を建設するといった意味で本格的な任務である。

 また災害派遣・人道援助も、インドネシアやハイチ、フィリピン派遣のように大規模、即時投入の傾向が進むようになった。

 ところがC-2の輸送能力は従来通りである。C-2は9000km近い長距離輸送に耐えられるとしているが、その場合には12トンしか搭載できない。これは、かつてのPKO的な任務に合わせた任務であれば充分かもしれない。だが、海外派遣の本格化により重輸送ヘリや重機の輸送所要が生まれた今日では、輸送能力としては不足している。

 さらに将来をみれば、輸送力不足はより深刻となる。自衛隊の海外活動は今以上に大規模、本格化する。より大重量・大容積の物資を、より遠方に運ばなければならないためだ。

 例えば、集団的自衛権で話題となっている機雷除去でも航空輸送能力が必要になる。略掃や航路調査により先行して通航可否の判断をする場合には掃海ヘリや、場合によればサイドスキャンソーナー付きの小型ボート、無人水上艇USVや使用する簡易掃海具DYADといった装備を空輸する必要が出てくる。そしてこれらの空輸はC-2では、文字通り荷が重い。

 また、将来的には戦車を運ぶ必要も出てくる。本土防衛での必要性は相当減少したが、国際貢献の本格化により、紛争地帯で使う単純な移動トーチカとしての必要性はむしろ高まるためだ。これは最大搭載量30トンのC-2では輸送できない。

 救難潜水艇(DSRV)空輸といった話もいずれはでてくる。中国海軍力の伸張の結果、日本潜水艦の活動範囲もより遠洋化する。また、今でも日本と共同救難訓練をしているアジア各国の潜水艦運用も活発化する。このため、自国潜水艦遭難や他国要請による潜水艦救難も遠距離化は免れない。潜水艦救難は時間との戦いであり、南シナ海やインド洋といった遠距離に迅速展開するには米海軍のようにDSRVを空輸するしかない。だが、これもC-2では実現不能である。

 これらの所要を満たすには、C-2以上の輸送力が必須となる。より大重量・大容積の物資をより遠距離に運べる機材が要求される。

 そして現状で入手できる機体ではC-17しかない。C-17は、全ての能力でC-2を超えている。C-17は最大積載量72トンで4500km飛行可能である。C-2最大搭載量である30tでも、8000km近くは飛ぶことができる。輸送機で最重要である貨物室容積でも勝っている。貨物室容積はC-2の256㎥(計画値)に対し、C-17は592㎥だ。

 今からでもC-2を中止し、C-17を購入することによるメリットは大きいように思われる。ただしC-17の新規製造は今年で終了するため新造機は手に入れられないかもしれない。だが、米国から中古を分けてもらうことは可能だ。米国にとっても海外派遣の一部肩代わりとなるので、悪い話ではなく好意的に対応するだろう。

 仮に独自開発を継続するにしても、現状のC-2はやめておいたほうがよい。能力的には既に中途半端である。海外輸送では力不足であり、スペックの見直しが必要だ。ただし、国内輸送では既存のC-130でも能力をもて余しておりC-2は過剰性能である。つまり、無理をしてC-2を少数機生産する必要もなく、それにより部品供給といった後方支援の面倒を背負い込むべきではない。輸送機開発の経験を積めたことで良しとして量産への移行は中止し、海外派遣用として能力の高いC-17を少数購入し、国内輸送用には既存のC-130の買い増しをしたほうがいい。
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E3%83%8D%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E5%B1%95%E9%96%8B%E3%81%AF%EF%BD%A4%E3%81%AA%E3%81%9C%E9%81%85%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-%E9%95%B7%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E8%BC%B8%E9%80%81%E6%A9%9F%E3%81%AE%E8%AA%BF%E9%81%94%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%81%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%82%E3%82%8A/ar-BBj7Q37#page=2