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浜松の生活環境苦情 絆薄れ増える

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運動会で煩いのは当たり前だのクラッカー!!



 天竜川のせせらぎ、うなぎのかば焼きの香り、浜名湖の夕日…。地域を潤すこれらの五感に訴える「地域資源」を守ろうと、浜松市が二〇〇四年に「音・かおり・光環境創造条例」を施行して、十年を迎えた。名称も理念も麗しい条例に思えるが、一転、生活環境に絡む苦情件数は年々増加し、昨年度は初めて四百件を突破した。浜松に何が起きているのか-。現場を探った。

◆運動会の声も許せず

 トルルルル…。浜松市環境保全課の電話が鳴る。「運動会の子どもの声がうるさい。やめさせろ」。担当者は「子どもの声を騒音というのはちょっと…。運動会は一時的なものですし、ご勘弁を」と、苦しそうに言い返した。

 担当者は吐露する。「こういう電話は最近、多い。特に、秋は野焼きや運動会シーズンで、騒音や悪臭の苦情はひっきりなしです」

 この他にも、「畑で焼いた煙が臭くて呼吸できない」「ブルペンのキャッチャーのミットの音がうるさい」など多種多様だ。

 苦情件数は、条例を施行した〇四年度は二百五十件だったが年々増加し、一一年度は三百七十五件、一三年度は四百十件と過去最高に達した。四百十件のうち、悪臭が百八十九件と最も多く、騒音が九十六件、水質汚濁が八十件と続く。

 市によると、騒音や悪臭の基準値を超えた苦情も多いが、基準を超えるまでには至らないこれまでの一般常識から離れた苦情が件数を底上げしているようだ。

 条例は、国の騒音規制法や悪臭防止法など「規制」を前面に押し出したものではなく、地域生活から生じる音や香りを守ることで、騒音や悪臭をなくしていこうとの狙いがある。条例に基づき定めた市の計画は〇七年、日本計画行政学会から優秀賞を受賞するなど、全国的にも評価が高い。

 市環境保全課の進士一男課長は「苦情の内容によっては、地域の関係が希薄になっている証拠ともいえるものがある。誰もが暮らしやすい社会を皆で目指していけたらいい」と話している。

 前田正子・甲南大教授(社会保障論)は「騒音に限らず、ストレスに起因した攻撃性を外に向ける傾向にある。特に第一線から退き、社会からの役割を失った団塊世代からの苦情が多い。子どもの声=騒音問題は、少子化で子どもの声が異端となり聞き慣れていない証拠ともいえる。全ての住民に百パーセント良い環境などない。公共性の理解をあらためて進める必要がある」と指摘する。

◆「子どもの声=騒音」全国的な問題

 子どもの声は騒音とする苦情の多さは、全国的な問題になっている。

 東京都では、2000年に施行した騒音防止を定めた「環境確保条例」で、「何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」とし、条文上では規制対象に子どもの声も含まれていた。それらを根拠に苦情が頻繁になった。だが、「子どもの声を工場の騒音と同等に扱うのはおかしい」「声の抑制は発育上、望ましくない」との意見も浮上し、来年中にも子どもの声は除外するよう条例改正する方針という。

 神戸市では今秋、保育園の近くに住む男性が、「子どもの声がうるさい」などとして、園を運営する法人を相手に慰謝料などを求めて提訴するなど、訴訟に発展しているケースもある。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20141102/CK2014110202000077.html